連載・韓国ひとり歩き 1991.04→1995.03(NHKテレビ アンニョンハシムニカ ハングル講座より抜粋)



湯(タン)

ソウル

藤本巧





へジャンクッ、コムタン、
ソルロンタン、サムゲタンなどの
煮込みスープは、韓国では
「湯(タン)」と呼ばれる。



露天商


湯は身体に良く、元気の源である。





LinkIconソウル 南大門周辺への地図

厨房


かって、ソウルに
「へジャンクッ通り(通称)」という
名の通りがあった。



食堂


今でも鍾路区に数軒、その面影を
残している。
牛の血の煮こごりスープをヘジャ
ンクッという。
精力がつき、また酒を飲みすぎた
翌朝に食べると酔いざましとなる。

食堂のアジュマ


ヘジャンクッの店は、朝早くから
営業している。
夜明けまで飲み明かした遊び人や、
登山に行く前の人たちが、
精力をつけようと
こぞって湯を食べる。

だから、むかし夜回りの警官と泥棒が、
ヘジャンクッの店で鉢合わせになった
という話も聞いた。

「お店、はやっていますね」
と店の人に言うと、
「日本のテレビ局も、ずいぶん取材に
やって来たよ」と
ソウルオリンピックのころを
懐かしみながら、
主人は延々と自慢話をし始めた。