Life Work










李朝工芸のポストカード




「彼の朝鮮行」柳宗悦
「彼はいつも彼の傍から話さなかつた朝鮮の磁器に又も心を奪われてゐた。彼はいつもそれ等のものと話する事が出来た。然し互に通ふその心は、いつも彼に寂しい情を誘つた。彼はその姿に現はれる美しさの寂しさを想はない時はなかつた。彼は屢々『最も悲しい心を歌つたものが、最も美しい詩歌だ』と云ふシェリーの句を想ひ起こした。静な沈みがちな白い釉薬や、その中から音もなく浮びでてくる靑い草花や、又はそれ等のものを含むたわやかな線が、彼の眼には人知れぬ情の世界を示した」(原文のまま)
『改造』第2巻第10号 1920年10月